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92 2016 秋季増刊 心筋細胞は常に電気的活動(脱分極・再分極)を繰り返しています(p.25図3を参照)。活動電位持続時間(APD)とは、細胞が脱分極・再分極に要する時間です。細胞は脱分極してから再分極するまで、そして再分極後も一定の時間は、ほかからの電気的刺激を受けても活動することができません。これを不応期と呼びます。 Ⅰ群抗不整脈薬はNaチャネルを遮断することにより、APDを修飾して抗不整脈作用を発揮する薬です。抗不整脈薬の分類としては1975年に提案されたヴォーン・ウイリアムズ分類(図1)1〜3)が使用されています。抗不整脈薬の作用機序によってⅠ群からⅣ群まで分けられており、Ⅰ群は先に述べたように、主にNaチャネル遮断薬です。Ⅰa群はAPDを延長させるもの、Ⅰb群はAPDを短縮させるもの、Ⅰc群はAPDが不変であるものと分類されます。ほかにもNaチャネルがどういった状態(静止・活性化・不活性化)のときに作用するのか、Naチャネルへの結合・解離の速さなどもありますが、ここでは詳細は割愛します。 さらにKチャネル遮断作用があるか、β受容体遮断作用があるか、抗コリン作用があるかなどのプラスアルファ作用がそれぞれの薬の個性となってきます。これが整理されたものが1990年に提唱されたシシリアン・ガンビットの分類(p.86表3を参照)です。 どういった不整脈に対してⅠ群を使用するかというと、心房細動を洞調律化させたいもしくは洞調律を維持させたいとき、期外収縮で症状が強いもしくは期外収縮の数が多いときなどが増えています。なお、Ⅰb1 ヴォーン・ウイリアムズ分類とイオンチャネルのはたらきⅠ群薬Ⅲ群薬Ⅱ群薬Ⅳ群薬キニジンプロカインアミドジソピラミドアジマリンシベンゾリンピルメノールリドカインメキシレチンアプリンジンフェニトインプロパフェノンフレカイニドピルシカイニドプロプラノロールナドロールアミオダロンソタロールニフェカラントベラパミルジルチアゼムベプリジルⅠaⅠbⅠc図1ヴォーン・ウイリアムズ分類文献1〜3を参考に作成不整脈を停止させよう!Naチャネルをブロックするぞ!おれはNaチャネル遮断薬
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