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11 2016 秋季増刊第1章 はじめに:不整脈がニガテなあなたへはじめに:不整脈がニガテなあなたへ第章1まずは知っておこう!不整脈の基礎知識第章2これで完ペキ! 不整脈の治療&ケア:薬剤編第章3これで完ペキ! 不整脈の治療&ケア:アブレーション編第章4これで完ペキ! 不整脈の治療&ケア:デバイス編第章5全身の各臓器が必要とする酸素や栄養分を供給するために、毎分50〜100回(心拍数)、1日に換算すると約10万回もの収縮と拡張を繰り返しています。これを心臓の「ポンプ機能」といいます。その仕事量をこなすためには、心臓自体も十分な酸素と栄養分を必要とします。それらを供給しているのが冠動脈です。 心臓はいわば筋肉の袋ですが、この筋肉(心筋)はほかの筋肉と異なり、特殊な働きをもっています。それは、外部からの刺激がなくても、自分自身で興奮(収縮)を繰り返す性質があるということです。それには、歩調すなわちペースメーカとしての役割を担う組織が必要になります。これが「洞結節」です(高位右房に存在します)。この洞結節で起きた電気的興奮(刺激)が左右の心房筋を伝わって「房室結節」へ入り、「ヒス束」、「左・右脚」、そして「プルキンエ線維」を介して左右の心室筋へ規則正しく伝えられます(図1)。このような電気の伝わるしくみのことを「刺激伝導系」といいます。心房筋と心室筋では0.1秒以内の非常に速いスピードで興奮が伝わりますが、房室結節からヒス束までは約0.2秒と伝達時間が長いのが特徴です。 洞結節が正しく歩調を取れなくなった場合や、途中で伝導が途絶した場合には、それ以下の部位(下位中枢)が自動的に電気を発し、洞結節のような働きをすることがあります。この性質のことを「異所性自動能」といいます。異所性自動能は、洞結節(調律50〜100回/min)ほど速く電気を発することはできず、通常は40回/min前後もしくはそれ以下の調律となります。洞結節心房心房心室房室結節ヒス束右脚左脚心室上室(心房)左脚前枝左脚後枝プルキンエ線維心室図1 心臓の電気の流れ(刺激伝導系)ヒス束左脚房室結節三尖弁右脚左脚前枝プルキンエ線維左脚後枝洞結節
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