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心房期外収縮(PAC)1PACとは 心室期外収縮とともに、日常よく遭遇する「周期以外で収縮」する不整脈です。無症状のことも多いですが、一瞬「ドキドキッ」といった動悸を認めることがあります。心房は自律神経の影響を受けやすいため、心臓の異常がなくても疲労やストレス、アルコールやカフェイン摂取などでPACが起こりやすくなります(表1)2)。心電図の特徴 通常、洞調律中は一定の周期でP波が出現します。PACはこの周期よりも早いタイミングで心房内での興奮P’波が出現します。同じ心房内でも最初に興奮した場所が異なると、P波とP’波は異なる形をしています(異所性P波)。より早いタイミングでP’波が出現すると、直前のT波の中にP’波が隠れてしまうことがあります。前後のT波の形を比較することでP’を見つけやすくなります。また刺激伝導系のどんな気病?脚の不応期に興奮が遭遇すると、変行伝導(aberration:アベレーション)と呼ばれる脚ブロック型のQRS波形となることがあります。左脚ブロック型よりも右脚ブロック型が多く見られます。変行伝導はQRS幅が広いため、心室期外収縮との鑑別が必要になります。直前にP波を確認することで鑑別することができます。また心房からの興奮が房室結節の不応期に遭遇すると、興奮が心室に伝わらず、QRS波が脱落することがあります。blocked PAC(ブロックされたPAC)やnノンon-・cコンダクテッドonducted PAC (伝導されないPAC)などと呼ばれます。解剖トリビアちょっと差がつく不応期 電気的な刺激で心臓が興奮した後、再び興奮できるようになるには不応期(ふおうき)と呼ばれる回復時間が必要です。不応期中に心臓は興奮できません。変行伝導やblocked PACは不応期から理解することができます。文献2を参考に作成表1●心房期外収縮の原因となる病態・誘因⃝心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症など)⃝先天性心疾患(心房中隔欠損症など)⃝虚血性心疾患(陳旧性心筋梗塞、狭心症)⃝高血圧⃝心筋症(特発性、二次性)⃝心筋炎、心膜炎⃝心臓手術後⃝慢性閉塞性肺疾患(COPD)⃝甲状腺機能亢進症⃝電解質異常⃝疲労、ストレス、喫煙、飲酒、カフェイン飲料 などHEART nursing 2017 春季増刊 * 39
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