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急性心不全をみてみよう 心不全とは、何らかの原因で心臓のポンプの働きが低下する状態です。これが急激に生じると、2つの異常がさまざまな程度で生体に現れます。1つは、川で言うと下流に血液が十分流れない「低心拍出」です。元気に働くための十分な血液が供給されず、各臓器の障害が進みます。もう1つは、下流にはけない血が上流にたまる「うっ血」です。特に肺うっ血は肺でのガス交換を妨げ、呼吸困難をきたします。頚静脈の怒張 うっ血が生じると、心臓内の圧力が高まります。その結果として現れる代表的な身体所見に頚静脈怒張があります。立位で頚の皮膚が揺れていたら、心不全である可能性が高まります。解剖トリビアちょっと差がつく肺左心全身肺静脈体動脈一方向の「流れ」(左)心ポンプの基本システム(左)心ポンプ不全時肺左心全身肺静脈体動脈肺うっ血低心拍出量血液が十分に流れない第 6 章心臓の病気の最終形 心不全急性心不全1北里大学北里研究所病院循環器内科 教授●猪又 孝元(いのまた たかゆき)132 * HEART nursing 2017 春季増刊

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