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循環器ナースとなった皆さんへ 本増刊では、主に新卒採用者から経験年数2〜3年目の看護師を対象に、循環器疾患の中でも心疾患の基本的知識や技術、あるいは看護ケアについてわかりやすく提示しています。循環器疾患看護というと大変難しいという印象をもちやすいですが、それぞれの領域の専門家がイラストや写真をふんだんに用いてビジュアル的に解説していますので、初心者でも十分学習が進んでいくと思います。また、解剖・生理の基礎知識から解説しているので、疾患・症状の要因や治療、ケアの根拠がわかります。 巻頭には学習目標の達成度をみる「スキルアップしよう! 目標達成チェックシート」をつけました。達成レベルを「★」の数3段階で表し、「★★★」と★が3つになれば達成です。楽しみながら学習が継続できれば、きっと患者さんへの理解が深まるはずです。 「高齢化」は、循環器疾患を増加させます。年齢とともに「動脈硬化」が進むからです。そして、医療技術の進歩もあり、「慢性化」していきます。循環器疾患をもつ患者さんは、必ずしも循環器系の病院や病棟だけに入院しているわけではなく、骨折した患者さんやがん患者さんたちの中にも、循環器系疾患の既往があったり、循環器系の合併症を発症する例がよく見られます。どの領域の病棟あるいは、外来や手術室などに勤務するとしても、循環器疾患、特に心疾患についての基礎的知識をもっていることは有益です。 それから、昨今では「ときどき4444入院、ほとんど在宅」といわれるように、病院完結型医療から地域完結型医療にシフトしています。おそらく近い将来、「たまに444入院、ほとんど在宅」になるでしょう。看護の視点でもある「全体像をつかむ」「生活者として全人的な医療や看護を提供する」ということが、ますます求められることになります。同時に複雑多様化する患者さんや社会のニーズに的確に応えていくためには多職種協働、つまりチームが機能する必要があります。そして、チームの中で看護師がリーダーシップを発揮することが期待されています。その期待に応えていくためのスキルを、新人のときから少しずつでも高めていってほしいと思います。 わたしたち「ひと」は、「身体」を携えて、生きています。また、暮らしています。「身体」について探求し、「身体」を整えてこそ初めて「こころ」が整い、「生活」が整うのではないでしょうか? 看護師が専門職である以上、困難なこと、複雑なことに立ち向かい、解決していくための参考書の一つとしてこの増刊を活用していただければと思います。★川崎医科大学総合医療センター 看護部長付参与/川崎医療福祉大学 特任教授★山田佐登美
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