狭心症1北里大学 医学部循環器内科学 診療講師 ● 南 尚賢 (みなみ よしやす) 狭心症(angina pectoris;AP)とは、冠動脈の血流障害による可逆的な心筋傷害によって、胸痛などの胸部症状を生じる疾患です(図1)。狭心症はその発作の誘因や発生機序、症状や臨床経過などによって、労作性狭心症・不安定狭心症・冠攣縮性狭心症などに分類されます(表1)1)。狭心症に典型的な胸部症状 狭心症の診断は、その胸部症状の性状を詳しく聞くところから始まります。以下は狭心症に典型的な症状なので、当てはまるようであれば積極的に狭心症を疑い、検査を検討します。・ 性状:絞扼感(つかまれる感じ)、圧迫感、重苦感、冷汗や恐怖を伴う・ 部位:左前胸部、左肩や顎に放散する・ 経過:数分間、安静で緩和する、ニトログリセリン舌下投与で改善する狭心症の可能性が低い胸部症状 以下は狭心症としては非典型的な症状です。ただし、安易に狭心症ではないと考えずに、リスクファクターの有無なども考慮して、見逃さないことを前提に検査を考慮することも大事です。・ 性状:チクチク、ピリピリ、ドキドキ・ 部位:胸部表面・ 経過:呼吸や体位によって症状が変化、数秒もしくは数十分間持続、ニトログリセリン舌下投与で変化しない狭心症とは・動脈硬化性プラークによる内腔の狭窄・プラーク破綻による血栓の形成・一過性の冠攣縮図1 ● 狭心症の病態カテの適応疾患、合併症、薬剤について学ぼう ❶ 適応疾患2章74 * HEART nursing 2018 秋季増刊
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