血管の中に細い管(カテーテル)を通して行うカテーテル治療は日々進化しています。約40年前の冠動脈の治療に始まるカテーテル治療は、現在では弁膜症や先天性心疾患まで大きく広がりを見せるようになりました。デバイスも大きく進化しました。昔は大腿動脈から行うのが当然であったのですが、現在は橈骨動脈などの非常に細い血管からのアプローチも可能となってきており、多くの手技が非常に侵襲度の少ない形で行うことが可能となっています。診断用あるいは治療用のデバイスも日々新たなデバイスが投入されているといってもよいかもしれません。そのような治療を行うカテ室あるいはIVR室では、いろいろな機器があり、そして多くの専門用語が飛び交って、少し敷居が高く思えるかもしれません。循環器の医者はどこかとっつきにくかったり、ちょっと怖く思えたりするかもしれません。でも、心配は無用です。本書では、カテ室で行われていることをわかりやすく解説することを心がけました。難しい専門用語もわかりやすくまとめました。カテ室の入室から、実際にカテではどのようなことを行って何を医師は見ようとしているのか。また看護の点からはどのようなことを観察する必要があるのか。カテ室を出ていくときに何が必要なのか。そのような一つひとつを、医師、看護師、そしてコメディカルの立場から解説して1冊の本に仕上げることができました。実際にカテ室で行われている写真も多く取り入れて、なるべくわかりやすく見える形にできたと考えています。今回は北里大学およびその関連施設の方に執筆していただいたため、ローカルルールに近いものも含まれているかもしれませんが、多くのことはすべてのカテ室で同様に行われていることと思います。本書は、カテ室に配属される看護師を対象に書きましたが、エキスパートナースの方にももちろん読みがいのある内容になっています。チェックリストも随所に入れましたのでお役立てください。また、最新の情報も盛り込みましたので、コメディカルあるいはカテ室に最初に入る医師の方々にとっても十分に勉強となる内容が多く含まれていると自負しております。本書がカテ室に関わるすべての方に役に立つ本となることを心より願っております。心臓カテーテル〜最初の一歩からエキスパートナースまで〜北里大学 医学部循環器内科学 教授 阿古潤哉HEART nursing 2018 秋季増刊 * 3
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