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 100年以上の歴史をもつ心電図検査は、現代の循環器医療においても、簡便かつ有用で、まさに「きほんのき」といえる検査法です。ただ、100年以上もの長い間にわたって、積み重ねられた知識や情報があまりに膨大なため、心電図を初めて勉強する身になると、「どの程度の知識をわきまえていればよいだろう? どの程度読めれば十分なのだろう?」と不安になってしまうかもしれません。日本不整脈心電学会では、心電図に興味をもつ幅広い職種の方を対象に、1~4級の心電図検定試験を行っていますが(2019年度が第5回目となります)、毎年予想以上の受検者に恵まれ、多くのナースが参加されています。心電図がわかる、読める、ケアにつながる……それには、さまざまなレベルがあって、一歩一歩経験を積みながらゆっくり深めていくものだからこそ、そのステップを確かめるための検定試験に人気があるのかもしれません。 本増刊では、このような心電図の基本から、実際の心電図を見ながらの対応までをできるだけくまなく解説し、実践で役立てていただきたいという気持ちから企画しました。そして、本増刊の初めから最後まで一貫性があるようにと、著者はすべて心臓血管研究所付属病院のスタッフ(もしくは元スタッフ)で構成しています。心臓血管研究所は、約60年前に日本で初めて循環器専門の研究機関として設立され、その創設当時から心電図を長く研究してきた歴史があります。そしてその長い歴史のエッセンスが本増刊に詰まっています。 心電図検定試験で1級に合格し、かつ得点が高ければ、心電図マイスターの称号が授与されます。高い目標にはなりますが、多くの方にこの目標をめざしながら、本増刊を経て、心電図を自分のものにしてもらいたいと願ってやみません。公益財団法人 心臓血管研究所付属病院 所長山下武志編者のことば

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