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 手術時に使用する人工弁には生体弁と機械弁という2種類の弁があります。どちらの弁も、各々長所と短所があります(図2)。 生体弁は65歳以上、機械弁は65歳未満に使用しているのが一般的とされています。最近では生体弁の耐久性が向上してきたこと、また、再手術になっても手術自体のリスクが減ってきたことから、生体弁を使用する年齢が次第に若くなる傾向にあります。ただ、慢性透析を行っている患者さんは、術後に出血の合併症のリスクが高いことから、術後の抗凝固療法を必要とする機械弁の使用は避けられる傾向にあります。 近年では低侵襲とされる経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)が施行されてきています。これはステントの中に人工弁を付けたものを、カテーテルを用いて大腿動脈、もしくは直接胸壁を介して心尖部から挿入し、人工弁を植込む手術です(p.26参照)。 TAVIの最大のメリットは、傷が小さくまた手術時間も短いことから、開胸手術と比べて患者さんへの負担が少なく、日常生活への早期の復帰が可能なことです。問題 の解説●32人工弁はどちらを使う?近年はカテーテル治療も生体弁と機械弁それぞれの長所と短所図2生体弁機械弁 TAVIは基本的には大腿動脈からカテーテルを挿入する“経大腿アプローチ”と心尖部から挿入する“経心尖アプローチ”があります。また、患者さんの状態により、上行大動脈や鎖骨下動脈からアプローチすることもあります。TAVIのアプローチ法52(52)HEART nursing 2020 vol.33 no.1

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