はじめに 今回のp.1のマンガは、訪室中に患者さんがふと目を閉じました。先輩ナース(わたし)が駆けつけて「ポーズが出た!」と言い、症状を確認していますね。何があったのかを考えてみましょう。まず心臓の働きを思い出そう! まず初めに、基本中の基本ですが、心臓の働きについておさらいしてみましょう。 心臓は洞結節で定期的に興奮を生じています。洞結節から出た興奮(活動電位)が心臓の筋肉の中の伝導路を通ることで、心筋が収縮します。細かく言うと、一連の流れは「洞結節→左右の心房→房室結節→ヒス束→プルキンエ線維(右脚・左脚)→作業筋の収縮」という流れになっています。 プルキンエ線維は細かく分岐して心室内壁を覆っており、ものすごい速さで活動電位を作業筋まで伝達しています。プルキンエ線維がどれだけ速いかというと、約4m/secです。心室から一瞬で作業筋まで伝達していることで、心筋全体が同期した収縮を起こしているのです。そしてこの構造を刺激伝導系といいます。刺激伝導系と心電図波形をつなげてみよう! 刺激伝導系によって、効率よく心臓が拡張・収縮し全身に血液を送ります。洞結節から活動電位が心房に伝達されるとP波が出てきます。房室結節まで活動電位が伝達されたらそこで少し時間をおいてQRS波が出ます。房室結節で少し時間をおく理由は、心房の血液を最後まで心室に送るためです。しっかり心室に血液が充満したらQRS波が出て、心室の収縮によって脳などの全身に送られるのです。 ちなみに、脳や全身に血液を送り込むのは右心室ではなく左心室です。そのため、心電図波形は左心室メインに見ています。心拍出量が少ないと脳への血流も低下するので、ぼーっとしたり場合によっては失神したりしてしまいます。実際にマンガの症例について考えてみよう! さて、改めて今回のp.1の症例では何が起きたのか、1つひとつ考えていきましょう。医療法人沖縄徳洲会 千葉西総合病院 循環器内科病棟 副主任 白石拓人医学監修:医療法人沖縄徳洲会 千葉西総合病院循環器内科 部長 牧野仁人第1回 洞不全症候群新連載HEART nursing 2020 vol.33 no.1(85)85
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