第2章 解説編①心臓の解剖と仕組み日本赤十字社 神戸赤十字病院 循環器内科 副部長 田た原はら奈な津つ子こ問題❶正解はA 心臓は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの腔から形成される。体循環から戻ってきた血液は上下大静脈を経て右心房が受け取り、三尖弁を通り右心室へ流入する。その後、肺動脈弁から肺動脈へと流れた血液は、肺でガス交換を行われた後、4本の肺静脈を通り左心房へ流入する。そして、僧帽弁を通り左心室へ、大動脈弁を通り大動脈・体循環へと駆出されるのである。 問題❷正解はD 心血管系の主たる役割は、ガス、電解質や大分子の物質、熱などを細胞と外界で交換しやすくすることである。その目的を効率的に達成するために、心臓を共通のポンプとして、肺循環と体循環を構成している。 問題❸正解はD 心周期は大きく収縮期、拡張期の2つに分けられる。収縮期は心室の収縮と血液の駆出が、拡張期は心室の拡張と血液の充満が行われる。心房と心室は交互に収縮、拡張をしているので、基本的には心室に注目して心周期を考えると混乱しにくい。 問題❹正解はC 成人の安静時心拍出量はおよそ5~6L/minといわれている。この心拍出量を規定する因子は、1回拍出量×心拍数。もちろん、小柄な高齢女性と大柄な男性では1回拍出量も異なってくるので、体格の異なる個々の心拍出量を標準化する値として、心拍出量を推定体表面積(BSA)で除したものを心係数(CI)として使用することも多くある。この正常値は2.6~4.2L/min/m2である。 問題❺正解はB ダブルプロダクトは二重積ともよばれる収縮期血圧と心拍数をかけたもの(積)である。これは、心臓の仕事量、心筋酸素消費量を反映している。例えば、心臓核医学検査では、運動負荷終点の1つとしてダブルプロダクト25,000以上(ほかに予想最大心拍数の85%以上、虚血性心電図変化や重症な心室不整脈の出現など)を目標に負荷をかけている。HEART nursing 2020 vol.33 no.1(17)17
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