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ポイント解説緊急度・重症度の見極めポイントなどの侵襲的治療を要することが多いです。 痛みの原因を探る上で問診が重要です。痛みの問診のポイントを簡潔にまとめた覚え方としてOPQRST(表1)があります。問診で得られた情報から原因疾患を絞り込み、検査の順番を決めていきます。  腹部の診察では触診が最も重要です。特に腹膜刺激症状は消化管穿孔など重篤な腹膜炎を判断する重要な所見です。板状硬や反跳痛が代表的な腹膜刺激症状ですが、反跳痛を確認する手技は患者にとって苦痛です。指で軽くtapする程度でも腹痛が出現するかどう痛みの問診〜OPQRST〜腹部の診察〜腹膜刺激症状と部位を意識して〜 どんな症状であっても、まずはABCD(気道、呼吸、循環、意識)を用いて緊急性の有無を評価することが必要です。このうち腹痛ではC(循環)のトラブルに注意が必要です。循環状態の評価は血圧だけでなく脈拍数、皮膚所見(冷感、湿潤など)により総合的に評価します。循環不全(ショック)を呈している場合は、酸素投与や急速輸液などの初期治療を速やかに行いつつ、出血性(腹腔内出血や大動脈瘤破裂など)、心原性(ACS:急性冠症候群)、敗血症性(腹膜炎、急性胆管炎)などの鑑別を心電図、超音波検査を用いて迅速に行います。全身状態が許せば腹部造影CT検査が確定診断に有用です。循環に異常を呈する疾患は緊急手術やIVR(Interventional Radiology:画像下治療)腹痛でもまずはABCD、バイタルサイン表1 OPQRSTOOnset(発症様式)突然か、徐々にかPPalliative/Provocative(増悪・寛解因子)姿勢や食事などによる変化QQuality/Quantity(痛みの性質・強さ)間欠痛か持続痛か、鈍いか鋭いか強さはどのくらいか(10点満点で●点など)RRegion/Radiation(場所・放散の有無)心窩部、季肋部、下腹部などの部位や放散の有無Sassociated Symptom(随伴症状)嘔吐、下痢、血尿などTTime course(時間経過)症状の経過・推移42 * Emergency Care 2017 夏季増刊

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