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くも膜下出血1緊急度疾患特定までの流れ くも膜下出血の初発症状の多くは、突然の強い頭痛である。初発症状は出血の程度によって決まり、感冒様症状程度の軽度の頭痛から、意識障害や局所神経脱落症状をきたしたり、心肺停止となることもある。①主訴:バットで殴られたような頭痛/突然の激痛/これまでに経験したことがない頭痛②身体症状:嘔気・嘔吐/項部硬直/意識障害/けいれん/高血圧患者の症状ここを見る・突然の頭痛:発症時刻がはっきりと言えるような突然の激痛の場合、くも膜下出血を疑う。激痛は徐々に治まるが、眼窩部や後頸部に鈍痛が残存することが多い。・項部硬直:頭部を前屈させた際に後頸部を痛がったり、身体に力が入るような場合、くも膜下出血によって髄膜刺激症状を呈している可能性がある。・巣症状を伴わない意識障害:くも膜下出血が頭蓋内に充満して頭蓋内圧が上昇すると意識障害を呈する。一過性であることも多い。・突然の血圧上昇・徐脈:(再)出血によって頭蓋内圧が急激に上昇すると、高血圧と徐脈をきたすことがある(クッシング現象)。頭部単純CT検査くも膜下腔(脳槽)に高吸収領域(白い部分)を認める。動脈瘤破裂によるくも膜下出血は鞍上部周囲に星状(ヒトデ型)の高吸収域を認めることが多い。必要な検査 再出血の予防のための出血源に対する外科的治療と、脳血管攣縮や水頭症などの合併症に対する治療を中心として行う。①術前治療:降圧、鎮静により再出血を予防する。全身麻酔を導入することもある。②手術治療:再出血の予防には原則として手術治療が必要である。脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血では、開頭クリッピング手術か脳血管カテーテル法を用いたコイル塞栓術が行われる。③術後治療:合併する脳血管攣縮による脳梗塞の予防治療や、水頭症に対して髄液ドレナージ管理を行う。治 療くも膜下出血を疑った時の追加検査 出血量が少ない場合、または出血して時間が経過している場合、頭部CTでは診断が困難なことがある。この場合、以下の検査を行う。①腰椎穿刺くも膜下出血では、髄液中に血液混入やキサントクロミーを肉眼で認める。②頭部MRI検査脳実質損傷の有無や、MRA検査による出血源検索が可能である。③脳血管造影検査造影CTやカテーテルを用いた脳血管撮影によって出血源となりうる動脈瘤や脳動静脈奇形などの脳血管異常を検索する。第2章 患者の治療・ケアにつながる疾患の知識1神経系疾患54*EmergencyCare2017夏季増刊
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