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116Emergency Care 2018 新春増刊近いサイズとなり、ER・ICUではキャスター付きの台に載せられて壁際に保管されます。駅や公共施設などで見られるAED(自動体外式除細動器)(図1)3)も通常の除細動器と同じ原理ですが、医療従事者以外の公共の場に勤務する非医療従事者やその他の一般市民にも広く使用が認められています1)。使用目的 危険な不整脈の治療がその第1目的で、中でも心室細動に対する直流通電を除細動と呼び、すべての除細動器の基本機能となっています。除細動によって胸壁からの強い直流が、バラバラに活動しているすべての心筋細胞の電気活動をリセットさせ、洞結節からの自動能により再び正常な電気活動を取り戻すことを期待します。 非心停止下での不整脈治療として使う場合は、同期下カルジオバージョン(同期電気ショック)と呼ばれます。操作は除細動に似ていますが、不整脈の回路(リエントリー回路)を担う心筋細胞のみが対象なので、除細動よりも少ないエネルギーを使用します。心電図のT波(再分極相)にショックが落ちる(shock on T)と心室細動に移行するリスクがあるため、R波の直後にショックがかかるように、「同期」機能を使用します。 高性能機種になると徐脈性不整脈に対する体表式のペーシング機能(経皮ペーシング)が備わっています。高度な徐脈のために心不全や胸痛、ショックなどを呈している場合は、経静脈ペーシングまでの応急的処置として使用します。体表から極短時間のペーシング電流を流すと刺激に応じて心筋の収縮が起こり、目標設定した心拍を得ることができます。 最近では経皮的酸素飽和度(SpO2)や気管挿管下の呼気終末二酸化炭素検出機能などを表示する機能を有しているため、短時間のモニタリング装置として使われることもあります。適応・禁忌❶除細動(非同期電気ショック) ・心室細動(VF)(図2) ・無脈性心室頻拍(pulseless VT;pVT) ・ 禁忌:心静止やPEA(無脈性電気活動)に対してショックをすると心拍再開率が低下します。図2 心室細動

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