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各論18Emergency Care 2018 夏季増刊Ⅰ章 ER・ICUでよく使う薬剤●静脈内投与、骨髄内投与では1mg(3〜5分ごと)。●気管内投与では2〜2.5mg(3〜5分ごと)。使用にあたってのポイント!知識必須アドレナリンの効果に関するエビデンス アドレナリンを使用することで自己心拍再開(ROSC)率が改善されるという後ろ向き研究3)はあるが、生存率においてはその有効性を示すエビデンスはない。そのため、心肺蘇生におけるアドレナリン投与に関してはガイドライン上「投与することは妥当である」(アメリカ心臓協会:American Heart Association;AHA)2)、「投与を考慮してもよい」(日本蘇生協議会:Japan Resuscitation Council;JRC)1)と記載されている。一般名アミオダロン塩酸塩商品名アンカロン® 150mg/3mL 静注製剤必須ポイント分でわかる1心筋細胞のKチャンネルの阻害だが、CaチャンネルやNaチャンネルにも作用する。心筋細胞の活動電位持続時間を延長させ、不応期を延長させることにより不整脈の抑制作用を有する(Vaughan-Williams分類でⅢ群に分類される)。胸骨圧迫、呼吸管理、除細動、血管収縮薬投与が無効な心室細動(Vf)あるいは無脈性心室頻拍(pulseless VT)において投与が考慮される。ER・ICUでの典型的なケース症例:40歳男性、出勤途中で胸痛を訴えた後に意識消失。目撃者により胸骨圧迫が開始され救急要請が行われた。心肺停止(心室細動:Vf)と判断され除細動を施行するも自己心拍再開(ROSC)せず。心肺蘇生が行われながらERへ搬送。アルゴリズムに準じて胸骨圧迫、呼吸管理、除細動を行い、血管収縮薬(アドレナリン)を3〜5分ごとに静脈投与するもROSCせず。アミオダロン300mgを静脈内投与し心肺蘇生を継続したところROSCが得られた。その後の心電図で急性冠症候群が疑われ、緊急心臓カテーテル検査となった。解説:致死性不整脈(心室細動、無脈性心室頻拍)でも絶え間ない質の高い胸骨圧迫を継続することが重要。その上で除細動や血管収縮薬が無効な場合にアミオダロン投与を考慮。初回300mg投与後も150mgを1回投与することができる。

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