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3Emergency Care 2018 夏季増刊はじめに 前書『ER・ICUの薬剤110』が出版され3年の月日がたち、新薬の追加や内容をブラッシュアップした上で『ER・ICUの薬剤121』として、前書を踏襲しながらも新たな知見を盛り込み改訂された本書をお届けします。 編者・執筆陣も全く同じメンバーで約3年の月日を経てひとつの作品を作り上げられたことは奇跡的なことだと思っています。前書では現場でばりばり働く新進気鋭の中堅医師だった執筆陣はさらに要職につかれ多忙の中、改訂作業を進めてくれました。 本書はERおよびICUでよく使われる薬について、日々奮闘するレジデント・ナース向けに使用する上でのポイントをまとめた本です。実際の現場で医師がなにを考えてその薬剤を選択しているかを重視し臨場感あふれる内容となっています。 国内を見わたすと、救急医療も集中治療の現場でも、必ずしも専従の救急医、集中治療医がおらず、各科の医師により運営されているER・ICUも多いかと思います。その中で、専従の救急医・集中治療医の視点から重要と思われる薬剤121を取り上げて、作用機序、実際の投与にあたっての注意点、薬剤の使い分け、実際のケースに至るまでコンパクトに解説しています。 主な変更点と各項目のポイントを見ていきましょう。 まず「0.心肺蘇生時に用いる薬剤」と「17.循環作動薬」について、田村有人先生に薬剤の各論とともに心肺蘇生ガイドライン・アルゴリズムおよびショックのアプローチについて解説してもらいました。 「1.解熱性鎮痛薬」では、忙しないERで発熱精査をどの時点まで詰めていくかについて、そして「2.静注鎮痛薬」では鎮痛補助薬および鎮痛評価について、吉田 暁先生に解説してもらいました。 「3.鎮静薬/筋弛緩薬」について新規のデクスメデトミジン、鎮静評価そして筋弛緩薬ロクロニウムについて取り上げました。また「20.抗痙攣薬」も鎮静薬の抗痙攣作用がある薬剤およびレベチラセタム内服・静注薬を追加し、てんかん重積状態(status epilepticus)へのアプローチについて、水 大介先生に解説してもらいました。 「4.鎮咳薬」は救急で対症療法として用いられますが、同時に原因検索について取り上げ、「9.吸入気管支拡張薬」については喘息重積、COPD急性増悪への初期対応について、御室総一郎先生に解説してもらいました。 「5.抗めまい薬」「6.制吐薬」についても対症療法として処方されることが多いと思います。抗めまい薬・制吐薬を使用しながら原因疾患をどのように検索するかについて、林 敏雅先生に解説してもらいました。 「7.抗ヒスタミン薬」は、蕁麻疹、なんらかのアレルギーが関与する病態で使用頻度が高く、1世代、2世代による違いと蕁麻疹として使用する場合とアナフィラキシーを考慮する場
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