エコーとは?第1章29Emer-Log 2019 夏季増刊はspine sign(黄矢頭)も陽性になっており胸腔内液体貯留を示唆します。 図9は見慣れない画像かもしれませんが輪状甲状靱帯(穿刺や切開のため)を同定する際の気管を示しています。規則正しく並んだ気管軟骨(黄丸)と気管壁(高輝度な水平線:黄矢印)を挟んで対側にその鏡像(黄矢頭)を確認することができます。ここでは横隔膜や気管を大きな反射面として挙げましたが、いずれもその構造物を挟んで対側には空気という固有音響インピーダンスが極端に異なるものが存在することでこのmirror imageを作り出しています。その機序を少し理解していると、図8のようにmirror imageが見えないとそこには本来存在するはずの空気(肺)がないことがわかります。 本稿では皆さんにとって馴染みがないけれど臨床ですぐに使えて有用なBモード画像におけるアーチファクトについて述べてきました。もちろんアーチファクトはほかにもたくさんあり、皆さんに馴染みのあるものとして音響陰影(acoustic shadow)や聞き慣れないところではカラードプラを用いたアーチファクトもあります。その一つにtwinkling artifactがあり、胆石や尿管結石などの結石の同定にも使えるという優れものですので、ぜひ成書で確認することをお勧めします。1)日本超音波医学会編.“アーチファクトと画像の劣化”.新超音波医学.1医用超音波の基礎.東京,医学書院,2009,88-95.2)亀田徹ほか編.“アーチファクト”.救急超音波テキスト.東京,中外医学社,2018,56-65.引用・参考文献
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