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3Emer-Log 2019 夏季増刊 CT検査が画像検査の中心となっている昨今において、古くから行われていたエコー検査は一時期、下火になっていたが、近年になってその有用性が再認識され、重要な検査として位置づけられている。特に、救急領域におけるエコー検査は、超音波専門医というよりも、若手医師や看護師において、簡便に鑑別診断をあげることができ、重要病態を把握することができる必須の検査として、聴診器と同じぐらいの手軽さで行うことが勧められている。エコー検査は、術者の技量による描出能の違いや客観性に欠けるなどの短所があるのも事実であるが、point of careとして、ベッドサイドで迅速かつ簡潔に診断できるように工夫されて、復興してきている。 本書では、日常診療の中で超音波装置になじみがなかった若手医師や看護師に対しても、親しみやすくなるように、そして、有効に使えるように、という観点から各領域のトップランナーに執筆いただいている。エコー検査の技術は書籍を読んで習得するものではなく、実地訓練を数多く行って身につけるものである。ただし、実地訓練を行う上である程度の知識がなければ、やみくもに行うだけになるため、必要な情報が本書に組み込まれている。本書を頭に入れた上で実地訓練を行っていくうちに自然と身についてくるものと思われる。 野球の投球に例えるならば、ボールの投げかたに関する書籍を数多く読んでも実際にボールを投げなければ、うまく投げられるようにはならない。甲子園で投げるような、ずば抜けた投手にならなくても、キャッチボールを繰り返し、フォアボールを出さずにストライクを入れられるようになるために、必要最低限の知識とワンステップ上に上がるためのコツが盛り込まれた書籍になっている。船曵知弘済生会横浜市東部病院 救急科 部長はじめに

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