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エコーとは?第1章25Emer-Log 2019 夏季増刊の整数倍の深さ(②〜④)に同様の高輝度な曲線が現れています。これはプローブからの超音波が表皮、皮下組織を通って全く媒質が異なる空気で満たされた肺(胸膜)に到達する(強い反射面)ために生じます。これを逆手にとってこのアーチファクトを確認できるということから、肺はドライ(空気で満たされている)と判断でき、呼吸困難で来院した患者で心不全を除外したい時などに利用することができます。これが肺エコー施行時にA-lineと呼ばれるものになります(詳細は「第2章 A-2.肺」を参照)。 多重反射でもう一つ知っておくと便利なものにcomet-tail artifactと呼ばれるものがあります。二つの小さくて強い反射面が近接している場合や強い反射体そのものの表面間でエコービームが繰り返し反射することで生じる、まさに彗星(comet)のように見えるアーチファクトです(図2黄矢印)。肺エコー施行時にlung slidingとともにこのcomet-tail artifactを確認できることが気胸の除外に非常に有用です。また図3は心不全患者の前胸部での肺エコー画像ですが、図2と同様に胸膜面から垂直方向に延びる明瞭な高輝度な線状エコーを確認できます。これもcomet-tail artifactの一種ですが、図2では高輝度な線状エコーが画面下に延びるにつれて徐々に減衰して見えなくなりまさにcomet-tail様であるのに対して、図3では画面下まで減衰することなく線状エコーを確認することができます。これがいわゆるB-lineと呼ばれるもので、A-lineと一緒に覚えておくとよいと思います。詳細は「第2章 A-2.肺」あるいは「第図2 多重反射②(comet-tail artifact)肋骨肋骨

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