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12  Emer-Log 2020 夏季増刊40代、女性。主 訴突然の意識障害現病歴 友人と喫茶店で食事中、突然うなり声をあげていすから倒れた。友人がとっさに支えたため地面にぶつかることはなかったが、いびき様呼吸を認めたため119番通報。救急隊接触後、強直性けいれんと頻回の大量嘔吐を認めた。既往歴 20代のときに脳卒中の既往が2回あるとのことだが、詳細不明。友人「脳梗塞って言ってたかなぁ」。喫煙20本/day。所 見血圧 122/97  mmHg、脈拍100回/min、SpO2 77%(O2 リザーバー付きマスク10  L)、呼吸数 20回/min、体温 36.4℃、瞳孔 4+/4+、意識:Glasgow Coma Scale(GCS) E4V2M4、Japan Coma Scale(JCS)I-3R。動脈血ガス分析:pH 6.977、PCO2 62.8  mmHg、PO2 78.6mmHg、HCO3− 11.2  mEq/L、Lac 12.7  mmol/L。血算:WBC 11,330/μL、RBC 439万/μL、Hb 13.9  g/dL、Plt 24万/L。生化学:CK 121  U/L、CK-MB 29  U/L↑、T-Chol 232  mg/dL↑、TG 172  mg/dL↑、BS 314  mg/dL↑、NH3 186  μg/dL、トロポニンT 0.021  ng/dL↑、そのほか異常なし。凝固系:Dダイマー 69.2  μg/mL↑、FDP 226  μg/mL↑、そのほか異常なし。経 過 来院時、不穏かと思いきや、右上肢優位に間代性けいれんが持続していたため、ジアゼパム10  mgを静注し、けいれんは頓挫。バッグ換気を継続していたが救急車内から一貫してチアノーゼが出現しており、気管挿管実施。挿管チューブ内から大量の液体が噴き出してきた。あまりに量が多いため、大量誤嚥を疑い、気管支鏡を用いて吸引したが多量の液体が引けた。量としてはまるで溺水を想起するほどであった。SpO2は40%台まで低下。ジャクソンリースでhigh PEEP(呼気終末陽圧)をかけ続けた。脳梗塞の既往があるとの情報もあったため、心原性肺水腫を鑑別しようと心エコーを実施すると逆たこつぼ型心筋症を疑わせる所見であり、EFは30%程度であった。ここで家族が到着したため病歴聴取をすると、既往は脳梗塞ではなくくも膜下出血であったことが判明した。この時点でSpO2 70%台であったが、くも膜下出血の可能性を否定Case 1友人と食事中、けいれんと頻回嘔吐を起こした40代女性

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