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Emer-Log 2020 夏季増刊  17Ⅰ 脳血管疾患など1 くも膜下出血 本症例は左片麻痺が主訴であり、t-PA静注療法ができるか否かを判断すべきです。まずは頭部CTを施行しました[図6]。見るべきポイント40代、男性。主 訴左片麻痺既往歴 高血圧(未治療)。不整脈は指摘されていない。数カ月以内に外傷歴なし。現病歴 11時39分ごろ路上歩行中に突然の左片麻痺が出現。11時49分、119番要請し、12時24分、当院に搬入された。激しい頭痛の訴えはない。所 見 意識清明。血圧250/170mmHg、脈拍121回/min、整。左上肢MMT(徒手筋力検査)2/5、左下肢MMT  0/5の左片麻痺あり。NIHSS(国立衛生研究所脳卒中スケール)10/42。抗血栓薬t-PA(アルテプラーゼ)の禁忌事項および慎重投与事項に該当するような血液検査の異常なし。Case 240代男性。路上歩行中に突然の左片麻痺。頭痛の訴えなし➡A→B→C→D→Eの流れを原則としながらも、なるべく一元的に説明可能な病態の全体像を常に想像しつつ診療を進めていく。➡「安定化」は「正常化」ではないので、診療に必要な治療や検査の手順についてきちんと優先順位を判断していく。➡脳卒中の既往については、一般人ではその種別についての認識がかなりあやふやなので誤った情報に振り回されないように気をつける。Take Home Message図6 Case2の来院時頭部CT所見SAHSAH

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