130062051
8/16

10  Emer-Log 2020 夏季増刊くも膜下出血1Case 1友人と食事中、けいれんと頻回嘔吐を起こした40代女性Case 240代男性。路上歩行中に突然の左片麻痺。頭痛の訴えなしくも膜下出血(SAH)は、読んで字のごとく、くも膜の下のスペースであるくも膜下腔に出血する疾患である。くも膜下出血の原因のうち、最もメジャーなものは脳動脈瘤の破裂(約85%)、脳動静脈奇形、脳動脈解離など1)である。脳血管はくも膜下腔を走行し、脳実質に入り込んでいく(これを穿通枝と呼ぶ)ので、くも膜下腔を走行する動脈は基本的に主幹部であり、太いため、出血の勢いも強い。脳動脈瘤が破裂すると血圧が直接頭蓋内にかかることになり、猛烈な頭蓋内圧上昇を引き起こす。突然発症する激しい頭痛が特徴である。よく「ハンマーで殴られたような」といった表現がされる。この際、意識消失する者やけいれんする者、場合によっては心肺停止に陥る者までいる。嘔吐を認めたり、呼吸困難が出現する場合もある。心肺停止となる者から、軽微な頭痛が継続している程度の者まで、かなり幅がある。疾患の定義・原因症状身体所見頭蓋骨硬膜くも膜くも膜下腔脳動脈瘤破裂頭蓋骨硬膜硬膜下腔くも膜くも膜下腔軟膜軟膜図1 くも膜下出血の病態

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る