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Emer-Log 2020 夏季増刊  11Ⅰ 脳血管疾患など1 くも膜下出血60%に項部硬直を認める2)といわれる。意識障害を伴うことも多いが、意識障害なしに独歩で受診する者もいる点は注意が必要である。動脈瘤の位置によっては片麻痺や瞳孔不同、動眼神経麻痺などの症状をきたすこともある。頭部単純CTでくも膜下腔に高吸収域を認め、急性期では90%以上で異常が指摘できる3)。脳底槽に高吸収域を認めることが多いが、1つの脳溝のみにあったり、シルビウス裂が不明瞭になるのみのこともある。脳室内出血を伴う、あるいは脳室内出血のみのこともあれば、脳実質内に血腫を伴うこともある。3D-CTAを実施すると、原因となる動脈瘤、脳動脈解離などを認める。これは頭部MRAでも同様。頭部MRIではFLAIRやプロトン密度強調像で高信号を呈する。亜急性期(数日~1週間程度:血腫量による)ではCTでは出血の吸収値が低下するため検出が困難になる。一方でMRIではFLAIRで高信号を呈し、CTよりも検出率が高いとされている3)。画像上明らかでなくても、髄液検査でキサントクロミーを呈する。ただし、発症後6時間以内は再出血のリスクが高く侵襲的な検査や処置は避けるべきとされている4)。発症から6時間以上経過している際には髄液検査や3D-CTAも実施するべきである3)。画像検査の精度が向上している昨今、発症急性期に髄液検査を実施する。くも膜下出血で生命に危機を及ぼすのはまずは再出血である。再出血を予防するために、速やかに降圧し、適宜鎮静・鎮痛を加える4)。ストレッチャーやCT台への移乗などを含むあらゆる行為を愛護的に実施することも言うまでもない。収縮期血圧が160  mmHg未満に管理することがAmerican Heart Association/American Stroke Associationのガイドライン5)で推奨されている一方、わが国の東北地方の多施設合同研究では再出血例の多くで収縮期血圧が120~140  mmHgであったとされており、収縮期血圧の管理基準は定まっていないというのが現状である4)。再出血を根治的に防ぐには、開頭クリッピング術、もしくは血管内治療としての脳動脈瘤コイル塞栓術を施行する。クリッピングとコイリングのいずれを選択するかは、動脈瘤の部位、向き、大きさ、形などを総合的に判断することとなる6)。例えば、中大脳動脈分岐部はクリッピングが、後方循環系はコイリングが有利7)とされる。また、ネックの広いものはコイリングには不向きとされているが、これも技術向上の過程にある。なお、「脳卒中治療ガイドライン2009」には「動脈瘤の最大径/ネック径≦2であればコイルは困難なことが多い」8)との記載もあったが、このときにも「参考」として「3Dコイルなどの改良型コイルやバルーンでのneck remodelingにより、dome/neck ratioが2未満のもにも適応を拡大している報告もある」9)とされていた。「脳卒中治療ガイドライン2015」ではdome/neck ratioの具体的な記載は消えている。すなわち、治療の選択に明確な基準は現時点ではなく、まさに総合的な判断となっている。検査所見治療

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