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Special featurePart 1 呼吸のアセスメント1 呼吸生理のアセスメント呼吸生理とは?■どのように酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するのか? 生命は大気中の酸素を体内に取り込み、全身の細胞に供給し、代謝産物である二酸化炭素を放出することで必要なエネルギーを得て恒常性を維持しています。このガス交換、つまり酸素を取り入れ、二酸化炭素を排泄することを「呼吸」と呼びます。 口・鼻から取り込まれた空気は咽頭、喉頭、気管、気管支を通り肺胞まで運ばれます。この空気の通り道を「気道」と呼び、気道を通った空気は肺胞でガス交換が行われます。肺胞で血液内に取り込まれた酸素はヘモグロビンと結合し、心臓のポンプ機能によってうまれる循環系に乗って末梢の毛細血管まで運ばれ、そこで細胞との間でガス交換が行われ細胞に酸素が取り込まれます。そして代謝産物である二酸化炭素が逆に血液中に取り込まれ、再度肺まで運ばれガス交換され、気道を通って外界に放出されます。 では、どのように肺の中に空気は取り込まれるのでしょうか。決して肺が勝手に伸び縮みしているわけではありません。肋間筋や横隔膜が収縮することで胸郭が拡大し、胸腔内が陰圧になることで空気は取り込まれます。このとき肺は風船のように受動的に膨らむだけです。逆に肋間筋や横隔膜が弛緩することで胸腔内の陰圧が解除され、空気が排出されます。この空気の出し入れを「換気」といいます。これらの動きは、普段は無意識に行われて、その調整は脳幹である延髄で行われています。延髄からの命令が脊髄を通り、肋間神経や横隔神経を介して肋間筋、横隔膜を動かしています。また深呼吸をしたり、息止めをしたりと意識して呼吸をすることも可能ですが、これらは大脳皮質でコントロールされています。■呼吸不全の原因は? ヒトが呼吸をするためには気道、呼吸系、循環系、中枢神経系のすべてがきちんと働同 高度救命救急センター長救急科部長前橋赤十字病院 高度救命救急センター集中治療科・救急科西村朋也 NishimuraTomoya中村光伸 NakamuraMitsunobu8(8 )Emer-Log 2021 vol.34 no.1

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