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どれを選ぶ? なぜ選ぶ?救急での呼吸管理とアセスメントくことで可能となります。また中枢神経系へ酸素供給が維持されることで気道、呼吸系、循環系が維持されており、これら4つのシステムで生命のサイクルが形成されています。呼吸不全と聞くと肺(呼吸系)の問題と考えがちですが、気道、呼吸系、循環系、中枢神経系のどれが障害を受けても呼吸不全が生じます。この気道(Airway)、呼吸系(Breathing)、循環系(Circulation)、および中枢神経障害(Dysfunction of Central Nervous System)のサイクルの頭文字をとって「ABCDサイクル」と呼んでおり、鑑別を考える際はこれらのどこに異常があるのかを考える必要があります(図1)1)。呼吸困難の鑑別、呼吸器症状を示す疾患 呼吸困難とは、大脳皮質が知覚する「呼吸時の不快な感覚」と定義される主観的症状です。一方、呼吸不全とは、「低酸素血症(PaO2≦60mmHg、またはSpO2≦90%)」という客観的病態です。つまり、呼吸困難は本人の訴える症状であり、呼吸困難があるからといって必ずしも呼吸不全があるとは限りません。例えば過換気症候群は、「呼吸が苦しい」と感じますが、SpO2の低下は見られません。呼吸困難の病因には生理的異常のほか精神的、環境的要因なども関連しています。 以下の点を意識して病歴をとると、呼吸困難の鑑別疾患が考えやすくなります。1.発症様式  発症様式は、「突然発症(発症時間を正確に言うことができる)」「急性」「亜急性」「慢性」に分けて考えます。突然発症の呼吸困難は「詰まる」「破れる」ことで発症する疾患、例えば窒息は「気道が詰まる」ことで発症し、急性冠症候群や肺血栓塞栓症は「血管が詰まる」ことで発症するため、重症・重篤であることが多いです。したがって、速やかに原因を考え、呼吸不全がある場合は迅速な対応が必要となります。急性呼吸不全では心不全や喘息発作、肺炎などが考えられます。慢性呼吸不全であれば酸素Airwayの異常Breathingの異常Circulationの異常Dysfunctionof CNS中枢神経障害ABCD図1 ABCDサイクル(文献1 p.2より改変)Emer-Log 2021 vol.34 no.1(9 )9

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