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56 脳神経外科速報2017年臨時増刊てきた.OPMI PENTEROは,Zeiss社の手術顕微鏡として第5世代目のコントラバスシステムに当たる.脳神経外科関連製品として改良された手術顕微鏡で,脳神経外科手術において有利となる,さまざまな特徴を有している.また,手術顕微鏡用立体高画質映像システムの導入や,通常光下では観察できないものを可視化する術中観察モジュールの導入など,画期的な機能を搭載することが可能である.以下で,筆者らがOPMI PENTEROの術中に役に立っていると感じる特性に関して紹介する.1 鮮明な術野 対物レンズから接眼レンズに至る全光学系は,アポクロマート光学系を採用している.そのため,色再現性に優れており,脳神経外科手術において重要である微細な組織構造を鮮明に観察することができる.また,顕微鏡の照明角度が観察軸と角度の差をもつ2軸照明であるため,従来の1軸照明では光が当たりづらく見落としがちな部位にも光を当てることが可能となっている.2軸照明は顕微鏡下の実像に立体感を与え,照明光の反射による術者の目の疲労軽減に貢献しており,この機能は比較的低い照明値で明るい観察野も可能としている.またターゲットライトを採用しており,主照明による影を薄くすることが可能となり,狭い手術野での顕微鏡本体の位置移動操作が必要となる機会を最小限とすることができる. 外科手術に本格的な手術用の顕微鏡が導入されたのは,1953年に耳鼻咽喉科用としてドイツのZeiss社により開発されたOPMIⓇ1型が始まりである.脳神経外科領域では,1960年代からその有用性が認められ,手術顕微鏡は広く普及していった.それまで使用していた眼鏡に装着した双眼ルーペに対し,手術顕微鏡は微細部位を明るい視野で拡大観察でき,術者が楽な姿勢で手術に臨むことができるという,脳神経外科領域においても革新的な発明であったことは言うまでもない.今や,0.1 mm単位で血管・神経を愛護的に扱い,低侵襲にて組織の損傷も少なく,安全で正確な治療が必要とされる脳神経外科手術において,なくてはならない存在である.当施設では,脳神経外科用にZeiss社(カールツァイスメディテック)のOPMI PENTERO 800を1台と,OPMI PENTERO 900を1台所有し使用している(図1A,B).本項では,Zeiss社の手術顕微鏡OPMI PENTEROの各特徴について,実臨床での経験を踏まえて紹介したい. Zeiss社の手術顕微鏡は1950年代から開発され,耳鼻咽喉科領域・眼科領域・脳神経外科領域で使用され,そのニーズに合わせて改善され1はじめにZeiss社 手術顕微鏡OPMI PENTERO21カールツァイスOPMI PENTERO月花正幸 / 中山若樹 北海道大学

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