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疾患の概説 頭蓋内脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)は発生部位や血行動態,発症様式がさまざまであり,画一的に治療方法を決定することが難しい.未破裂AVMにおける治療介入の有効性を検討する前向き登録多施設国際研究(ARUBA study)において,治療介入群の有効性が示されなかった理由の一つとして,いわゆるhigh grade AVMが多く含まれていたことが指摘されている1).また血管内治療,外科摘出術,定位放射線治療を組み合わせた複合治療が少なかったことも挙げられる.テント下AVMは頭蓋内AVMの約10%程度であり,テント上AVMと比較して出血発症が多いとされている2,3).ARUBA studyにエントリーされたテント下AVMは治療介入7例(6%),保存的加療5例(5%)であり,この結果をそのままテント下AVMに当てはめることは難しい.近年の血管内治療および定位放射線治療の進歩により,これらの複合治療によるAVMの治療適応・選択肢は広がっており,「脳卒中治療ガイドライン2015」においてはグレードC1と推奨されている.特に深部ドレナージを有することが多いテント下AVMにおいては,血管内治療による術前塞栓が奏効することが多い.自験例を提示し,テント下AVMにおける複合治療の有効性につき論じたい(Fig.). 174脳神経外科速報2018年増刊1AVM長崎大学医学部脳神経外科 出雲 剛Tsuyoshi Izumo 同上 堀江 信貴Nobutaka Horiea.小脳AVMFig.小脳AVMの概念図
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