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症例提示 76歳女性.突然の頭痛と吐き気を主訴に独歩で近医を受診した.明らかなくも膜下出血(sub-arachnoid hemorrhage:SAH)はなかったが,MR angiography(MRA)で右内頚動脈床上部に最大径15 mmの動脈瘤を認めたため,切迫破裂の診断で当院へ救急搬送された. CT angiography(CTA)では,内頚動脈(inter-nal carotid artery:ICA)床上部に,頚部を眼動脈(ophthalmic artery:OphA)と後交通動脈(posterior communicating artery:Pcom)との間に有し,強い石灰化を伴う後方内側向きの大型動脈瘤を認めた(図1).Pcomはdistal neckのすぐ遠位から起始しており,瘤によって外側に圧排されdomeに接して走行していた.シミュレーション画像と血管撮影 CTAが有用である.骨付きのvolume render-ing(VR)画像を作成し,瘤の局在や大きさ,瘤と前床突起との関係性,ICA,OphA,Pcom,前脈絡叢動脈(anterior choroidal artery:AChA)などの血管や頭蓋底骨構造との関係性を評価する(図1). ICAの走行のバリエーションは,動脈瘤の見え方やクリップ挿入角度,母血管確保の難易に大きく関与する.脳血管撮影を行わない場合は,CTAと同時に静脈相撮影も行い,シルビウス静脈の発 10脳神経外科速報2018年増刊1脳動脈瘤a.ICparaclinoidIC paraclinoidの開頭手術埼玉医科大学国際医療センター脳卒中外科 吉川 雄一郎Yuichiro KikkawaFig.IC paraclinoidの概念図

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