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症例提示 69歳女性.頭痛を契機にMRIにて発見された,後方外側へ突出する約8 mm大の左IC—PC未破裂脳動脈瘤(図1).左IC—PCに後方外側へ突出する動脈瘤を認める.頭蓋内で内頚動脈は前頭蓋底に沿った,いわゆる“寝ている”走行であるが,tem-porary clipはかけられると判断.また動脈瘤の突出方向より側頭葉のretractionは通常のpterional approachよりもやや強めに行うことが必要と判断した.シミュレーション画像と血管撮影 Clippingのsurgical viewを3D—CTAで評価(図2).術前に予想されるトラブル・合併症 IC—PC動脈瘤をclippingする際に最も回避すべき合併症として,前脈絡叢動脈の虚血,後交通動脈および穿通枝の虚血が挙げられる. この重大な合併症を避けるためには,動脈瘤の突出方向に合わせてretrocarotid spaceを展開し,これらの構造物を確実に確認することである.動脈瘤の突出方向や大きさによってこれらは確認しづらい場合があり,そのために適切な術式を選択する必要がある. また動眼神経麻痺も注意すべき合併症であり,特にpterional approachの際にclipの先端で動眼神経を損傷することのないよう確認が必要であ 24脳神経外科速報2018年増刊1脳動脈瘤b.IC—PCIC—PCの開頭手術埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科 印東 雅大Masahiro IndoFig.IC—PC動脈瘤の概念図前頭葉側頭葉retractor視神経内頚動脈脳動脈瘤前脈絡叢動脈後交通動脈動眼神経前側頭動脈シルビウス静脈

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