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症例提示 64歳女性.就寝後,昏睡状態で発見されたくも膜下出血患者.1)入院時 WFNS grade Ⅴ.2)頭部CT(図1) Fisher group 3,第三脳室に血腫を認め,水頭症を呈していた. 左瞳孔は6 mmと散大しており,対光反射も消失,左眼球は外転位で左動眼神経の完全麻痺を認めた. 動眼神経麻痺を認めるが,重症度からコイルによる瘤内塞栓術を選択した.シミュレーション画像と血管撮影 左内頚動脈撮影側面像にて,後方に突出し先端にblebを有するIC—PC動脈瘤を認める(図2 A,B).瘤径は4.5 mm×9.1 mmと縦長の形態をしている(図3 A).Fetal typeの後交通動脈(posterior communicating artery:Pcom)が動脈瘤のネック近傍から枝分かれしている(図3 B).椎骨動脈造影にて左後大脳動脈(posterior cerebral artery:PCA)は造影されず,Allcock testでもPCAは造疾患の概説 内頚動脈―後交通動脈(internal carotid—posterior communicating:IC—PC)分岐部瘤(IC—PC動脈瘤)(Fig.)は臨床では比較的よく遭遇する脳動脈瘤であり,治療適応となる機会は少なくない.IC—PC動脈瘤は周囲に前脈絡叢動脈・後交通動脈,およびその穿通枝・動眼神経といった重要構造物が存在する.これらを直視下に確認・温存し,動脈瘤neckを閉鎖し得ることが開頭clipping術における利点の一つであるが,動脈瘤の大きさだけでなく突出方向によっても手術難易度は極めて大きく影響される.しかしながら脳血管内治療技術やdeviceおよび血管撮影装置の目覚ましい発展により,開頭clipping術では穿通枝温存やneck clip-ping spaceの確保が困難で危険なIC—PC動脈瘤であっても適切に治療可能になるなど,双方の治療の特徴が最も発揮し合える動脈瘤の一つと言えよう.このsec-tionではそれぞれの治療の利点・欠点を把握し,IC—PC動脈瘤の特徴に合わせた治療戦略について詳述する.なお,巨大脳動脈瘤や血栓化動脈瘤については複雑な治療手技が要求され,本稿の目的ではないため省略する. (印東雅大)脳動脈瘤1開頭手術と血管内治療の選択第1章b.IC—PC脳神経外科速報2018年増刊25IC—PCの血管内治療山口大学脳神経外科 岡 史朗Fumiaki Oka    同上    石原 秀行Hideyuki Ishihara    同上    鈴木 倫保Michiyasu Suzuki

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