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の治療論シリーズ3 われわれの基本コンセプトは,「頭を開けることは,避けられるのであれば,それに越したことはない」というのが大原則です.私のもとには年間250人程度,聴神経腫瘍の新患患者が外来にやってきますが,半分は経過観察,放射線治療も15%ほどあり,手術になるのは40%弱です.手術適応には相当厳しいと自負しています. 手術適応は,①若い患者のKoos Ⅲ・Ⅳ,②若い患者の聴力温存企図のKoos Ⅰ・Ⅱ,③若い患者の成長速度の速いKoos Ⅱ,④高齢者のKoos Ⅳとしています. 手術方針としては,基本的には全摘を目指しますが,持続顔面神経モニタリングの反応等を考慮して,再発しない切除で顔面神経麻痺を起こさない手術を徹底しています.放射線治療がコントロールしていく治療なのに比べ,手術は治す治療であることが大きな違いです.また,腫瘍の切除が行えて病理診断が確定するというのも一つの利点だと思います.河野道宏東京医科大学脳神経外科主任教授Michihiro KOHNO外科手術代表撮影:西谷英雄大宅宗一 Soichi OYA埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科教授司会脳神経外科速報 vol.29 no.6 2019.6. 581

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