脳神経外科キャリアビジョン Subspecialty:私の選択脳神経外科速報 vol.29 no.10 2019.10. 1031がsubspecialtyを決める一助となり,脳神経外科を志す若手の先生が充実したキャリアを形成できれば幸いである.Ⅱ.キャリアプランの来し方・行く末 いうまでもなく,職業キャリアはいつの時代もその分野における法律やルールに大きく左右される.今,若手のキャリア構築に影響するであろう近年の変化をみると,今後数年の間に,かつてどの脳神経外科医も経験したことのないような未曾有の変化が起こることが予想される. まず初期研修に関しては,本邦では1968年に臨床研修制度が創設され,医師免許取得後2年以上はこの臨床研修を受けることが努力義務とされた.しかしそのようななかで,専門医志向のストレート研修が中心となってしまい,プライマリケアの基本的な診療能力の習得が不十分であることが大きな問題となった. 2004年に医師法が改正され,2年間の法に基づく臨床研修が必修となった.すると今度は医師として最初の2年間を基本的診療を広く浅く学ぶことに費やすため,専門医などのその後のキャリアパスへの円滑な接続が行えないという弊害が生じた.さらに研修医が都市部に集中するといった,いわゆる医師偏在の問題も発生した.その後2010年,2015年,と研修プログラムの弾力化(必修科目の削減など)や研修医募集定員に都道府県別の上限設定,などの臨床研修制度の見直しが行われ,現在に至っている2).そして初期臨床研修終了後に専攻医として研修プログラムに進むことになる.1)新専門医制度 2018年度から専門医の質を高めることを主目的として新専門医制度が発足した.初期研修後の医師は,19の基本診療科の研修プログラムに登録し専攻医となり,3〜5年の研修を受ける.脳神経外科は3大疾患の1つである脳卒中診療において急性期から慢性期に至るまで長らく診療の中心を担ってきたことに現れているように,脳・脊髄・末梢神経という重要臓器の疾患に対して,手術だけでなく予防・診断・慢性期管理・在宅医療までも担うため,新専門医制度が定める19の基本領域に含まれている(図1).新専門医制度はもともと2017新専門医制度における基本診療科とsubspecialtyへの道筋図1総合診療科臨床検査病理リハビリテーション科放射線科麻酔科救急科形成外科整形外科泌尿器科耳鼻咽喉科眼科皮膚科精神科産婦人科小児科外科内科脳神経外科(5年間)subspecialty初期臨床研修(2年間)基本領域(19診療科)
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