急性硬膜外血腫に対する開頭 硬膜外からの止血を確実に行うために,血腫全体を覆う範囲とするのが基本である.血腫の位置の正確な把握と開頭範囲の決定をするために,通常の水平断CTに加え,冠状断・矢状断CTを再構成し,3方向CTを撮像することが望ましい(図1).正中からの距離や,眼窩外耳道線(orbitomeatal line:OM line)からの距離を元に血腫の位置を把握し,血腫全体を覆うような開頭を想定し,コの字型,またはクエスチョン型の皮膚切開をデザインする. 中頭蓋窩の急性硬膜外血腫に対しては,骨折が中頭蓋底まで及び,棘孔近傍の処理を必要とすることが多く,中頭蓋底まで観察できる開頭が必要である1).一方で近年,より低侵襲な手術として直線の皮膚切開を用いる“slash inci-sion method2)”も用いられることがある(図2).これもCTによる正確な血腫の位置把握により,過不足ない皮膚切開を設定できる.急性硬膜下血腫に対する開頭 十分な減圧を得るため大脳半球を大きく覆う開頭を行う必要がある.国際前向き研究3)においても,30 cm2以下の開頭面積では減圧効果がなく,60~80 cm2以上の開頭面積が必要であることが示されている.また,側頭葉の血腫や脳腫脹による脳幹への圧排(脳ヘルニア)を解除するためには中頭蓋窩の骨削除が必要になるが,その際には,squamous sutureとsupra-40 脳神経外科速報2019年増刊Q015A正確な開頭範囲はどう決める?急性硬膜外血腫に対する開頭範囲は,水平断に加え,冠状断・矢状断CTを再構成することで血腫の位置を正確に把握したうえで決定する急性硬膜下血腫に対する開頭は,十分に大きく開頭し,中頭蓋窩は錐体骨上縁まで骨削除する12図1急性硬膜外血腫の頭部CTa:水平断,b:冠状断,c:矢状断.abc
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