九州大学大学院医学研究院脳神経外科教授飯原 弘二 このたび,『脳神経外科速報』の増刊号として,鹿児島大学脳神経外科教授の吉本幸司先生編集による『専門医なら知っておきたい 疾患・術式別 脳神経外科手術合併症の回避・対処法Q&A 156』が上梓されました.対象は,脳神経外科専門医取得前後の若手医師で,疾患・術式別に156ものClinical Question を設定して,新進気鋭の医師がポイントを解説するというたいへんユニークな形式になっています.九州大学脳神経外科で,大学病院で若手医師の指導を長年にわたり担当してきた吉本先生ならではの企画と思います. 現在の脳神経外科専攻医は,基本診療科の専門医を取得したのちに,サブスペシャルティの専門医をも目指す場合が多いと思います.ただし,現在の我々の後進を育てる環境は,「働き方改革」の問題,治療手技の多様化に伴う一人あたりの専攻医の経験症例の減少など,世界的な潮流と同様,厳しさを増しているように思います.そのなかで,本書のような課題設定型の教科書を有効に活用することは,一つの解決策を示しているのではないでしょうか? 「彼を知り,己を知れば,百戦殆うからず」 一人でも多くの専攻医,専門医取得後の若手医師が,本書に込められた「先人の知恵」を多忙な臨床の間に体得していただき,次の後進の指導につなげていただければと思います.推薦のことば
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