130081951
4/22

兵庫医科大学脳神経外科主任教授吉村 紳一 最近では,バイパスなどのハンズオンコースなどが盛んに開催され,人気を博しています.脳神経外科手術において自身の技術を磨くことはとても重要で,こういったイベントに積極的に参加することは極めて有用と思われます. しかし実際の手術では,そういった華やかな部分だけでなく,体位取りから,頭部ピン固定,そして皮膚切開・開頭といった一見地味なステップにも多くの注意点があります.ではこういったステップを安全に行うための工夫は,どのように学んだらいいでしょうか? 多くの書籍で脳神経外科手術における標準的な手技が記載されていますが,その大半は血管や腫瘍の扱いやアプローチ法についての記述が中心であり,前述のような手術中の細かなポイントについて網羅した書籍は見当たりません. 本書では,脳神経外科手術の合併症を回避するためのさまざまな工夫が150以上のポイントに分けて明快かつわかりやすく紹介されています.例えば,最もよく行われる前頭側頭開頭における皮膚切開においても,顔面神経の損傷を避けるための注意点がありますし,術後の陥凹を避けて整容的に手術を終えるためにも工夫が必要です.こういった点については,個々でさまざまな取り組みが行われており,施設独自,術者独自の方法も少なくありません.しかし,そういった工夫に加えて,本書に記載されているポイントを取り入れていけば,明日からの手術がより安全になるものと考えます. ぜひ本書を手に取って,直近の手術に役立ちそうなところから読み始めてください.そして実際に実行して有用であったことを,チームのメンバーで共有すると定着していくと思います.本書がみなさんの手術のレベルアップにつながることを期待しています.監修のことば

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る