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COVID-19下の脳卒中医療 世界の最前線から(第一報)緊急特別企画はじめに 2019年末から2020年にかけて,瞬く間に世界中にCOVID-19が拡大している.2020年1月30日に世界保健機関(WHO)がpublic health emergencyを発表してからも感染の拡大は続き,アメリカでは2月末に西海岸で感染症例が確認され,ニューヨーク(NY)でも3月1日にCOVID-19陽性患者が当院救急外来で確認されてから,瞬く間に指数関数的に感染が拡大した.4月11日現在でNY州では新型コロナウイルス感染患者数180,458名および死者数8,627名であり,アメリカを除く世界中のどの国よりも多くの感染者が確認されている. この1カ月で世界が一変したNYで脳血管内治療医/脳血管外科医として脳卒中診療にあたり経験したことが,これを読んでいる方の参考になればとの気持ちでレポートさせていただく.Mount Sinai Health Systemの診療体制(Fig. 1〜3) 我々の病院では,強いリーダーシップのもと,現状を把握し,これと今後の予想をもとに対策を立て実行するといった,非常に困難なことが日々繰り返されている.そこでは,医療従事者の安全確保を前提に,personal protective equipment(PPE)の確保と使用方法の徹底,ICUの増床,COVID病床の確保,スタッフの配置転換,呼吸器の確保などを行っているが,めまぐるしく状況が変わっており,個人的にはなかなか把握しきれないのが事実である.Mount Sinai Health Systemの7病院では,4月10日現在1,961名のCOVID-19患者が入院しており,うち445名がICU管理を要しているが,ここ数日で入院患者が減少の傾向を示し始めた. よく言われていることであるが,コロナウイルスは感染力が非常に強く,医療従事者は感染するだけでなく感染を広めるリスクにさらされている.世界の最前線より緊急寄稿①From NY:COVID-19パンデミック初期における当院の脳血管内治療体制Our Neuroendovascular treatment system in the early stage of COVID-19 pandemic重松朋芳1) Tomoyoshi SHIGEMATSU1)Cerebrovascular Center, Department of Neurosurgery, Mount Sinai Health System574 脳神経外科速報 vol.30 no.6 2020.6.

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