130082008
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特別座談会810 脳神経外科速報 vol.30 no.8 2020.8.て,カナダ出身の同僚が自国に戻ってからPS1というアルツハイマー遺伝子を世界で初めて確定したんですね.その悔しさはありますが,そうやって,脳卒中,変性疾患,認知症と,点が線になって40年間,飽きずにやってこられたのかなと思っています. 昔は,「何であんな何も治せない神経内科なんかに入局するの?」とよく言われたものですが,今はかなりよい薬も出てきました.そういう意味では,遅々たる歩みではありましたが,逆に言うと確実な進歩も遂げてきた40年間だったんじゃないかなと思っています.【小笠原】では次に,伊達先生のほうからご紹介をお願いいたします.【伊達】岡山大学脳神経外科の伊達でございます.私のほうは,脳外科の魅力をどう伝えるかということで,特に人材育成の面を中心にお話ししていきたいと思います. 一番言いたいのは,脳外科という医学分野は,いわゆるITとか,そういったイノベーションが使いやすい分野であるということです. まず,術前のシミュレーションが非常に発達してきていて,脳の表面の映像と合体させて,図1のような,実際の手術のときと同じような画像を作ることができます.また,手術教育として今よくやっているのがハンズオン,あるいはcadaver studyで,学生や研修医に図2のような体験をしてもらっています.BA図1浅側頭動脈‐中大脳動脈吻合の術前シミュレーション画像A:Fusion image(Rt. ICAG+Rt. ECAG).B:Fusion image(DSA+MRI).水色:浅側頭動脈,黄色および緑色:中大脳動脈.バイパスは中大脳動脈の2本に対して浅側頭動脈をつなぐ.阿部康二先生Ⅲ.脳神経外科の魅力伊達勲先生

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