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1050 脳神経外科速報 vol.30 no.10 2020.10.末廣 諭 Satoshi SUEHIRO愛媛大学大学院医学系研究科脳神経外科学 〒791-0295 愛媛県東温市志津川454A.若手脳神経外科医による手術下垂体卒中の1例1.内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術①Ⅰ.症例提示A.症 例 71歳男性.下垂体卒中. 半年前から強い頭痛が複数回あり,倦怠感も認めていた.突発性の頭痛に加えて,進行性の視力視野障害も自覚し,眼科を受診した.両耳側半盲と右外転神経麻痺による複視を認め,前医脳神経外科に紹介され,MRIにて下垂体腫瘍を指摘された.経過から下垂体卒中が疑われ,手術目的にて当院に紹介となった.B.検査結果 ホルモン評価にてコルチゾールの低下を認めた(表1).眼科にて評価した視力・視野検査では,両耳側半盲と右外転神経麻痺を認めた(図1).MRIにて腫瘍頭側に囊胞と液面形成を認め,また副鼻腔炎の所見も認められた(図2).C.治療方針 検査結果・経過から下垂体卒中と診断し,ただちにヒドロコルチゾンの補充を行った.進行性の視力視野障害を認め,Pituitary Apoplexy Grading SystemでGrade-5の症例であったことから,緊急手術の方針とした1,2).D.術中所見(図4) 経鼻内視鏡下に手術を施行した.副鼻腔炎の所見があり,右ポリープを病理に提出(病理は好酸下垂体卒中,非機能性下垂体腺腫,被膜外摘出表1内分泌データ術前術後7日術後2カ月TSHFT4FT3ACTHCortisolGHIGF-1LHFSHPRLAVP2.2200.512.4921.11.40.1271< 0.23.110.51.80.2920.500.958.03.80.1355< 0.21.54.51.14.2900.712.1630.37.00.11570.32.58.20.4μlU/mL ng/dLpg/mLpg/mLμg/dLng/mLng/mLmlU/mLmlU/mLng/mLpg/mLホルモン補充内服後,午前外来採血ヒドロコルチゾン20mg/日午前外来採血補充なし

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