130082010
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下垂体腫瘍ベーシック&アドバンスト ―若手×エキスパートFEATURE脳神経外科速報 vol.30 no.10 2020.10. 1051球性副鼻腔炎の診断).右ESSⅢ型を行ったのちに,左の皮膚粘膜移行部から鼻中隔粘膜下に中隔に入り,中隔骨を採取し,右鼻中隔粘膜にrescue incisionを入れ,両鼻孔操作にて手術を行った.蝶形骨洞を開放し,トルコ鞍底を露出した.硬膜の一部は欠損しており,そこから硬膜切開を行った.腫瘍の内減圧を行い,鞍底側の腫瘍被膜を捉え,剥離し正常下垂体を同定した.腫瘍は被膜下に全摘し,鞍隔膜の下垂を認めた.術中に髄液漏はなく,摘出腔に吸収性ゼラチンスポンジを充填し,中隔骨で硬性再建を行い,フィブリン糊で固定した.E.術後経過 術直後から視力視野は自覚的に改善し,退院前には右外転神経麻痺も改善傾向となった.術後のMRIでは明らかな残存腫瘍は認めなかった(図3).1カ月後の外来フォローの際には眼球運動障害・複視は軽快していた(図1).術後のホルモン基礎値ではコルチゾールの低下は続いており,甲状腺ホルモンも低下を認めた.ヒドロコルチゾンの補充を継続し,外来にて漸減中止した.術2カ月後の時点でホルモン基礎値は正常化した(表1).図1術前後視力視野検査術前〈遠見〉RV=0.5(1.0 × S +0.25D C -2.50D A 90) LV=0.15(1.0 × S -0.25D C -2.50D A 90)術後〈遠見〉RV=(1.0 × S +0.25D C -2.50D A 90) LV=(1.2 × S -0.00D C -3.00D A 90)図2術前MRI検査図3術後MRI検査

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