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はなく,変異する遺伝子に対応して血管内皮細胞である場合もある.細胞表面蛋白(受容体)から細胞質に複数存在する蛋白質へとシグナル(リン酸化)が伝達され,核内DNAの翻訳が促進され,細胞が増殖する仕組みである.このうち少なくとも1種類以上の蛋白が自律的リン酸化機能を得る,または一種類の蛋白数が著しく増加することで,規則的に増殖する機能が失われる.これら蛋白の遺伝子の変異のパターンを図2 aに示した3).図2 aは点突然変異と呼称されるものでEGFR遺伝子やBRAF遺伝子変異などが相当する.中段は融合遺伝子の形成である.学部時代に勉強した慢性骨髄性白血病のBCR—ABL融合遺伝子や毛様系星細胞腫で散見されるKIAA—BRAF融合遺伝子,肺非小細胞肺がんで有名なALK融合遺伝子などが相当する.ALK融合遺伝子は融合する相手方が多く便宜上ハイフンの前を示していない.図2 bは蛋白の過剰発現パターンで乳がんでのHER2(BRBB2)遺伝子が最も有名である. これら遺伝子は相同遺伝子の片方でも変異が入ると変異蛋白が働き始めるためがん遺伝子と呼ばれている3).2. 細胞増殖制御の不具合 細胞の増殖を規則正しく行うもう一つのしくみは,無秩序増殖をチェックする機構である.転写調節過程(p—53,WT1,VHL遺伝子),細胞周期を負に制御(RB1,CDKN2A遺伝子),DNA修復機能(BRCA1/BRCA2,MLH1遺伝子)などが体表的であり,がん抑制遺伝子と呼ばれる3).これら遺伝子は相同遺伝子の片方に変異が入っても,他方の正常遺伝子由来蛋白が機能するため,がんは発生せず,がん発生には相同染色体両方の変異が必要である.多くは一I章総 論悪性脳腫瘍治療に必要な分子標的療法の理解のために111脳神経外科速報2020年増刊LRpYShc/Grb2SOSRASRAFMEKRI3KSRCAKTmTORERKpY受容体リガンド細胞質核転写因子活性化核内遺伝子活性化Lアポトーシス抑制増殖促進分化抑制everolimuseverolimustemsirolimustemsirolimusEGFVEGFbevacizumabPD-1CTLA4変異EGFRnivolumabipilimumabosimertinibEGFRHER2VEGFRPDGFRKITALKcrizotinibalectnibceritinibcetuximabpanitumumabtrastuzumabramucirumabgetiniberlotinibimatinibaxitiniblenvatinibafatiniblapatinibsorafenibsunitinibpazopanib(BRAF)(BRAF)(BRAF) vemurafenibRdabrafenibtrametinibRANKLdenosumab図1細胞内増殖シグナル経路と分子標的薬(文献2より引用,一部改変)

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