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 グリオーマの特徴の一つとして,強い年齢依存性と部位依存性が挙げられる.図2はいずれも乏突起膠腫様の小型類円形細胞からなる腫瘍であるが,それぞれ全く異なる腫瘍で,これを組織学的所見のみで確定診断することは極めて困難であった.IDH変異と1p/19q共欠失を伴うことが定義となっている成人の乏突起膠腫(図2 a)では約85%の腫瘍が前頭頭頂葉に発生し,小脳脳幹あるいは脊髄に発生することはない.また20歳以下,特に10歳以下の乏突起膠腫にはIDH変異や1p/19q共欠失は存在しないことから,小児の乏突起膠腫は分子遺伝学的に異なる腫瘍に分類されている.中枢性神経細胞(図2 b)は,よく揃った類円形の核と明るい胞体をもった顆粒細胞型の神経細胞系腫瘍で,第三脳室に発生する代表的な腫瘍である.かつては乏突起膠腫と診断されていた.乏突起膠腫がこの領域から発生することは極めてまれである.Haarlem consensus guide-linesとintegrated diagnosis(統合診断)157脳神経外科速報2020年増刊IV章病理診断(分子診断)成人グリオーマの分子分類1図1成人の浸潤性gliomaにおける遺伝子経路GBM:glioblastoma,IDH:isocitrate dehydrogenase 1/2,TERT:テロメラーゼ逆転写酵素Glioblastoma, IDH-wildtype(primary GBM)Heterogeneousgenetic pathways+IDH wtTERT mtProgenitorcellsIDH mt,TP53 mt,ATRX lossSingle positiveIDH wtDouble positiveIDH mt,1p/19q codel+TERT mtAstrocytoma, IDH-mutant,grade 2 & 3Astrocytoma, IDH-mutant,grade 4(secondary GBM)Glioblastoma, IDH-wildtypegrade 4“Diffuse gliomas, NOS, grade 2 & 3”Oligodendroglioma, IDH-mutantand 1p/19q-codeleted, grade 2 & 3Triple negative図2乏突起膠腫様の組織像を示す腫瘍a:乏突起膠腫,IDH変異および1p/19q共欠失,b:中枢性神経細胞腫,c:毛様細胞性星細胞腫.(文献17より転載)abc

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