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10 脳神経外科速報 vol.31 no.1 2021.1. 「脳血管内治療 専門医への道」という特集が組まれ,今回で第3弾となった.日進月歩の脳血管内治療において,常に新たな知識や情報を習得し,確かな技術をもって実践・考究することが何よりも重要であるという実感から,「知と技を兼ね備えた専門医へ」というテーマとした.自らの脳血管内治療との出会いと,そして専門医を取得し,現在までの経験から,これから専門医を目指す先生らに今伝えたいことを述べさせていただく.また,多忙な診療業務のなかで試験対策に取り組むには,肉体的・精神的・時間的な苦難が予想される.各執筆者の先生には,どのように苦難を乗り越え,現状のモチベーションを維持しているかのメッセージも依頼した.ぜひ,こちらも参考にしていただきたい. 脳神経血管内治療専門医を取得目標とする受験者数は,年々増加傾向にあり,脳神経外科専門医受験者数よりも脳血管内治療専門医受験者が上回っている.脳神経血管内治療学会の先駆者である先生らの尽力により,脳血管内治療という分野が社会に認められ,その必要性が重要視された結果であると考える. 日本脳神経血管内治療学会ホームページに,専門医制度の目的として「脳神経血管内治療を専攻する優れた医師を養成し,脳神経血管内治療の進歩発展とその診療水準の向上をはかり,国民の福祉に貢献することを目的とし……」と掲載されている.受験資格が厳格となり,合否の壁も自ずと高くなることは必然的である.専門医を目指す先生らは,もう一度,目的意識を明確にし,専門医への道を目指していただきたい. 脳血管内治療との出会いは,約20年前の医師免許を取得して2年目の時までさかのぼる.午前9時,手術入室の未破裂動脈瘤(Acom)に対する瘤内塞栓術であった.自分は,機材で溢れる血管撮影室の片隅から,画面と執刀医の施術に集中するのみであった.鼠径部の穿刺からガイディングカテーテルが留置され,前交通動脈瘤内へマイクロカテーテルが留置されたのは,午後3時すぎであった.1stコイルが留置され,無事離脱された.まったく知識のない自分は「これで終了」と,安易な考えであった.Ⅰ.はじめにⅡ.専門医取得の目的Ⅲ.脳血管内治療との出会い脳血管内治療の魅力・専門医の意義総 論竹内昌孝 Masataka TAKEUCHI西湘病院脳神経外科 〒250-0001 神奈川県小田原市扇町1-16-35

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