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250INFECTION CONTROL 2017 夏季増刊特別養護老人ホームにおけるノロウイルスのアウトブレイク医療法人 富田浜病院(感染管理認定看護師)濱野飛鳥はまの・あすか研修会で使える!アウトブレイク対応・支援の実例第11章4何が起こった?アウトブレイクの例当施設は3階建て80床、全個室のユニットケア型の病院に隣接した特別養護老人ホームである。入居者の平均介護度は3.5であり、勤務するスタッフは看護師3.8名、介護士40.7名である。施設の感染防止活動は、スタッフ1名が隣接した病院の感染対策委員として選出され、積極的に参画している。感染制御チーム(infection control team、ICT)メンバーにより環境ラウンドは病院と同様、月1回実施している。職員の感染教育に関するレジネスは、看護師は100%感染教育を受けている。しかし介護士では、介護経験を有する職員は全員〔20名(50%)〕受けていたが、介護経験がなく、感染の教育をこれまで1度も受けたことがない職員が15名(37%)であった。新設された6ヵ月後に、特別養護老人ホームで2期にわたりアウトブレイクが発生した。第1期アウトブレイク(2012/11/30~12/17)リンクスタッフより「11月30日から下痢と嘔吐症状の入居者がいる」と報告があった。考えられる要因は、入居者家族による差し入れの持ち込みであった。有症状者9名(入居者8名、職員1名)のうち、ノロウイルス迅速キット検査による検出は2名であった。第2期アウトブレイク(12/27~2013/1/16)施設管理者より「入居者からノロウイルスが検出された」と報告があった。考えられる要因は、第1期アウトブレイクのノロウイルス発症者が症状消失後、病原体を不顕性に保有し、その後、排泄介助を通して職員が病原菌を媒介した可能性があった。その他、排泄介助を実施した後の手指衛生が不十分であることや手指衛生環境が整っていないこと、さらに、職員の知識不足などがあげられた。有症状者34名(入居者26名、職員8名)のうち、ノロウイルス迅速キット検査による検出は13名であった。

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