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INFECTION CONTROL 2018年 春季増刊21臨床推論の基本第2章症例は80歳の女性。関節リウマチで疾患修飾性抗リウマチ薬(disease-modifying antirheumatic drugs、DMARDs) 服薬中ですがADLが自立した元気な自宅生活の患者で、来院前日から嘔吐・下痢があり、当日からぐったりして同居の家族により救急搬送となりました。細菌性髄膜炎を疑い、抗菌薬を投与しながら施行した髄液検査で、軽度の白濁を認める髄液は細胞数が著増していました。髄液のグラム染色で菌体はみられませんでしたが、後の培養でリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)が同定されました。救急外来ではまずバイタルサインを確認して重症疾患を除外する姿勢を忘れないでください。若年者から高齢者まで患者層を幅広くし、初対面の患者やその家族から効率よく情報を拾い集め、「見逃してはならない」重症感染症を迅速に診断/治療しなければならないスピード感は、入院患者の対応との相違点といえます。橋本医師が回答します〈敗血症と重症疾患〉重症感染症の横綱といえば敗血症ですが、収縮期血圧・呼吸数・意識の3点で評価するqSOFA(quick Sequential Organ Failure Assessment)1)が用いられるようになったのは皆さんご存じですよね?(表1)1)また、施設入所者、在宅診療や血液透析を受けている患者、抗癌剤治療中の担癌患者、膠原病敗血症の疑い敗血症敗血症性ショックqSOFA陽性(下記のうち2つ以上を満たす)①意識状態の変化②収縮期血圧≦100mmHg③呼吸回数≧22回/分qSOFAスコアのベースラインから2点以上増加適切な輸液負荷にもかかわらず平均動脈血圧≧65mmHgの維持に循環作動薬が必要+血清乳酸値>2mmol/LqSOFAスコアと敗血症/敗血症性ショック表1(文献1より作成)

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