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INFECTION CONTROL 2019年 夏季増刊64病室内の水回り(洗面台・手洗い場)2和歌山県立医科大学附属病院 感染制御部(感染管理認定看護師) 小谷智美同 看護部(感染管理認定看護師) 柳瀬安芸●洗面台や手洗い場は水跳ねや水濡れにより湿潤環境になりやすい洗面台や手洗い場は洗面や手洗いだけでなく、含嗽や日常生活用品の洗浄など常時使用する場所であり、水跳ねや水濡れにより湿潤環境になりやすい。湿潤環境は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)やアシネトバクター属(Acinetobacter spp.)などのグラム陰性桿菌が好んで生息しやすい環境である。特にグラム陰性桿菌は環境汚染が医療関連感染の原因となる1)。汚染した環境からさまざまな経路で薬剤耐性菌が伝播する可能性があり、感染を防止する方法の一つとして環境整備があげられる2)。洗面台や手洗い場がグラム陰性桿菌の温床にならないように、環境整備を行うことが重要である。●患者や家族および医療従事者が共用で使用する場所である病室内の洗面台や手洗い場は、患者だけでなく、家族や医療従事者も共用で使用する場所である。患者は洗面台や手洗い場で歯磨きや洗面、手洗い、食器などを洗浄し、家族も食器洗浄や手洗い場として利用する。また、医療従事者は手洗いや患者の食器洗浄、医療用物品の洗浄に利用する。患者、家族、医療従事者が洗面台や手洗い場を使用することで、さまざまな伝播のリスクがある。多床室では複数名の患者で洗面台や手洗い場を共用しているため、各患者の物品はベッドサイドに置かれている。一方で個室は患者の個人空間であるため、洗面台や手洗い場に箸やスプーン、コップなどの食器類、歯磨き用品など患者が日常的に使用する物品が置かれている。また、ガーグルベイスンなどの医療物品が置かれることもあり、洗面台や手洗い場は乱雑な環境になりやすい。エリア/部門の特徴を理解しよう〈共通エリア 病棟 〉

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