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INFECTION CONTROL 2019年 夏季増刊66持ち込みは最小限とし、水回りには置かないなど環境整備を徹底する(図1)。 水道が自動水栓の場合、蛇口などに直接接触することなく手洗いや洗浄などをすることができる。しかし水道の蛇口が手動の場合、レバーやボタンが高頻度接触部分であり微生物の伝播が起こりやすいため5)、汚染時にはこまめな清掃が必要である。また、病室の洗面台や手洗い場は医療従事者も使用することがあるが、ペーパータオルで蛇口を閉じるなど湿潤環境を防ぐ。洗面台や手洗い場の見えにくい部分にカビや石けんカスなどによる汚染がみられることがある(図2)。当院では薬剤耐性菌のアウトブレイク時に、水栓の吐水口から薬剤耐性菌が検出されたことがあった。清掃が不十分であると、吐水口にカビなどの微生物が発生することがあるため、定期的に吐水口の汚染の有無を確認する。また、洗面台や手洗い場には、水があふれることを防ぐオーバーフローが設置されていることが多い。オーバーフローは穴が小さく普段は注目することが少ないが、微生物の温床や悪臭の原因となる。清掃が困難なことが多く、清潔を保持することが難しい構造である。実際に洗面台のオーバーフロー、排水口、シンクの培養検査を実施すると、さまざまな菌が発育する。水回りにはグラム陰性桿菌が多いため、マッコンキー寒天培地を使用し菌の発育状況を確認すると、特に排水口から採取した検体から発育していた(図3)。水回りはつねに湿潤環境であり、乾燥を保つことは困難であることが多い。吐水口やオーバーフロー、排水口など通常清掃が行き届きにくい場所であるため、定期的にラウンドで確認し、必要時には清掃を依頼する。 また、洗面台や手洗い場のシンク内に使用済みの箸やスプーンなどの食器類や、歯ブラシなど洗浄予定の物を置いていることがある。しかし、洗面台や手洗い場は使用頻度が高いほど汚染度も高く、特に排水口とその周囲は乾燥が不十分になりやすいことから特に汚染されている6)。使用後の物品は速やかに洗浄し、物品への汚染を最小限にするよう努める。水跳ねしやすい場所に不要な物品は置かない図1

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