130092007
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 MRSAは、黄色ブドウ球菌のうちメチシリンやオキサシリンといった黄色ブドウ球菌用ペニシリンに耐性を獲得した菌である。MRSAと似た表記にMRSE(Methicillin-resistant Staphylococcus epidermidis)があるが、後者は病原性の非常に低い皮膚常在菌で、MRSAとは臨床・感染対策上の意味合いもまったく異なるため混同しないように注意しよう。院内型・市中型の違い MRSAには病院由来である「院内感染型MRSA」と、健常者が市中で獲得する「市中感染型 MRSA」がある。院内型MRSAに関しては、近年減少傾向にあり、黄色ブドウ球菌全体に占める割合は約50%程度である1)。「院内型MRSA」は入院患者における血流感染症(カテーテル関連血流感染含む)、院内肺炎(人工呼吸器関連肺炎含む)、術後創部感染などの原因菌となり、一方で「市中型MRSA」は健常人において皮膚・軟部組織感染症の原因となる。MRSAは環境表面に数日~数ヵ月生存するため2)、病院環境が菌の供給源となる。一方、患者や医療従事者(5~20%)の一部は鼻腔にMRSAを保菌しており、環境表面同様MRSA伝播のリザーバーとなっている。 MRSAによる感染症に対してはバンコマイシン、リネゾリド、ダプトマイシンなどが有効である。・血流感染症、院内肺炎、術後創部感染・皮膚軟部組織感染の原因菌となる。・患者および医療従事者で鼻腔へのMRSA保菌がみられ、リザーバーとなりえる。2Pointメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistantStaphylococcusaureus,MRSA)22( )INFECTION CONTROL 2020 vol.29 no.7670

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