53第4話第2章INFECTION CONTROL 2020年 夏季増刊個人防護具のなかでも、マスクは医療従事者だけでなく一般市民も入手しやすく、花粉症などのアレルギー症状の予防目的で使用されることが多い。そのため、医療現場においても医療器材の一つであるという意識が薄れ、装着の目的が曖昧になりやすく、不必要な場面で使われたり、適切な交換や効果的な装着ができていないこと(いわゆる顎マスクや鼻出しマスク)がある。医療従事者がマスクを使用する場合は、その性能や機能、適正な使用場面、正しい着脱方法を理解する。特に、現場のスタッフに指導する立場にあるICTのメンバーは、それらを十分に理解したうえで、教育や周知、マニュアル作成などを進める。性能基準と構造日本の医療現場で使用されるマスクの性能については、性能規格基準がない。一方、米国では米国食品医薬品局(Food and Drug Administration,FDA)の認証を受けたマスクのみ病院で使用が認められ、ASTM International1)が規定しているASTM-F2100-11規格をクリアすることで認証される。日本においてもマスクはこのASTM規格に基づき基準を設けていることが多く、特に細菌濾過効率(bacterial ltration eciency,BFE)は95%以上であることが求められる。使用する場所と用途によっては人工血液耐浸透性にも注意する表11)。マスクは不織布を使用した3層構造になっている。不織布とは繊維を熱・機マスクの適正使用を理解しよう!どのように伝えればいい?悪い伝え方(顎マスクと鼻出しマスクのスタッフへ)どうして顎にマスクをしているのですか? 顎に口があるってことですか? 鼻がマスクから出てましたよ! そんなマスクの使い方をするのなら、これから一切使わないでください!理由を推察することなく、その場の状況で厳しく注意している。なぜ顎マスクや鼻出しマスクがよくないのか、またマスクの正しい装着方法や使う場面を示さず、一方的に「使うな」と言っており、むしろ反感を買う。それでは今後の行動変容につながらない。なぜ?
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