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 感染対策はすべての現場でスタッフが適切に実践してくれなければ意味をなさない。ICT活動においても“現場のスタッフに正しい知識を伝えて実践してもらうこと”が最も重要なポイントであるが、現場のスタッフはさまざまな職種からなり、知識の習得状況も異なっているために正しい感染対策の知識や情報を分かりやすく伝えることは難しく、その情報を実践に活かしてもらうことはさらに困難を伴う。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の流行に際して、多くの感染対策担当者は現場のスタッフが標準予防策を理解していなかったことを認識して落胆したり、善意に基づく意味のない過剰な対策をいさめるのに疲弊したり、現場とのコミュニケーションが実は取れていなかったことに改めて気づかされたのではないだろうか。本増刊の狙いは“伝え方”をテーマとして、感染対策担当者の熱意が現場でうっとうしがられることなく、逆にやる気を引き出すための秘訣とヒントを示すことにある。 コミュニケーションとは、医療安全・感染対策のための組織文化を醸成する基礎である。組織横断的に活動する感染対策担当者にとって必要なコミュニケーションのあり方、伝達する内容もさることながら、伝える心を考えるヒントになれば幸甚である。上意下達の古い組織体質を引きずることなく、個々の医療従事者がプロフェッショナルとして高い意識をもち、それぞれから積極的なコミュニケーションを図り、みんなが響き合う現代的な組織文化を望む。 2020 年6 月自治医科大学附属病院 感染制御部長・感染症科(兼任)科長・准教授・病院長補佐栃木地域感染制御コンソーティアムTRIC’K 代表世話人一般社団法人感染防止教育センター 理事森澤雄司編集にあたって

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