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11透析ケア 2017年冬季増刊1第 章プライミング・透析準備透析手技のDo&Do Not01気泡が体内に入ると、空気塞栓や血液回路内の凝固、透析効率低下の原因にもなるため、気泡除去は確実に行います。気泡を十分に除去するDoプライミングで気泡を除去する必要性 プライミングでは、血液回路内と、ダイアライザの中にあるストロー状の中空糸内の空気を抜きます。プライミングが不十分で気泡が残っていると、透析効率の低下、脱血時のダイアライザの膜破れ、血液回路の破損の原因となります。ウエットタイプのダイアライザはあらかじめ滅菌精製水で充塡されているため、プライミング時の気泡除去が比較的容易です。一方、ドライタイプのダイアライザは、滅菌の空気が充塡され静脈側の上部に気泡が滞留しやすいため、しっかり除去する必要があります。気泡除去のコツ ダイアライザと透析液ラインカプラをつないだら、ダイアライザ内を透析液で満たし、中空糸外の空気を抜きます。気泡除去をしやすくするため、ダイアライザは動脈側を下にします。ダイアライザのヘッダー部に集まった気泡は、ヘッダー部の横を手で軽く叩くようにして追い出します。エアートラップチャンバ内のメッシュ部分に気泡が残っていると残血の一因となります。気泡除去ができていなかった場合の透析治療への影響 通常の血液透析では、多少の気泡が残留していても、適正量の抗凝固薬が投与されていれば問題はありません。しかし、外傷や手術後の出血性病変のある患者に使用するナファモスタットメシル酸塩は、抗凝固作用のほかに線容系も抑制します。そのため、一度血液回路内で血液が凝固すると、血液回路全体が凝固し、廃棄しなければならなくなることもあります。したがって、血液凝固の原因になる気泡は十分に除去する必要があります。気泡は十分に除去する
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